健康コラム

「ロコモ」を知っていますか?(整形外科医師 茅原俊之)

2016.05.16

携帯電話の会社じゃありません。「ロコモティブシンドローム」の頭から3文字をとって「ロコモ」。(メタボリックシンドロームを「メタボ」と略すのと同じです。)

ロコモティブシンドロームは日本語にすると「運動器症候群」。運動器とは骨・関節・筋肉など身体を動かす器官のことで、それらの機能が衰えて寝たきりになったり、介護が必要になる可能性が高い状態をさします。

日本は超高齢化社会に直面し、要介護や寝たきりを防ぐ対策が急務となってきました。運動器の障害は要支援・要介護になる要因の20%以上を占めています。「ロコモ」は、一般の人たちにも運動器への注意を喚起するために、2007年日本整形外科学会により提唱されました。

ロコモの3大要因は「バランス能力の低下」「筋力の低下」「骨や関節の病気」です。このうち前2者は40歳代から衰え初め、転倒しやすくなります。特に高齢者は骨粗鬆症のために容易に骨折して回復にも時 間がかかるため、転倒防止が重要になります

骨や関節の病気」は骨がスカスカになって背骨が曲がったり骨折しやすくなる「骨粗鬆症」、膝などの関節軟骨がすり減って痛んだり水がたまる「変形性関節症」、腰椎で神経が圧迫されて長距離を歩けなくなる「脊柱管狭窄症」などがあり、50歳代から急増します。

健康診断で「骨がスカスカ」と言われたり、疼痛や歩行困難などの症状が既にある人には、整形外科受診をお勧めします。早期から治療していれば骨粗鬆症、変形性関節症、脊柱管狭窄症とも症状の悪化や骨折の危険性を減らすことができます。

「ロコチェック」

 早い段階からロコモティブシンドロームの危険性がないかをチェックするのにロコチェックがあります。

 次の質問のうち1つでも当てはまる人はロコモの疑いがあります。

・家の中でつまづいたりすべったりする

・15分くらい歩き続けることができない(休み休み歩く)

・階段をあがるのに手すりが必要である

・家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)

・横断歩道を青信号で渡りきれない

・2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)

・片足立ちで靴下が履けなくなった(これはやや難しいので、決して無理をしないで)

 

「ロコトレ」

ロコチェックでロコモが疑われたら、「最近急に悪くなった」「痛みがある」「日常生活に支障がある」「健康・体力に不安がある」人にはまず医療機関を受診することを勧めます。

病院へ行くほどでなければ、まずロコモーショントレーニング(略してロコトレ)をやってみましょう。「バランス能力の低下」「筋力の低下」に効果があります。代表的なものに「開眼片足立ち」と「スクワット」があります。

開眼片足立ち」は主にバランスをとる力を高める運動ですが、片足で体重を支えるため筋力トレーニングにもなります。左右足で各1分間づつ1日3回程度行いましょう。

スクワット」は下肢筋力の強化に有効な運動ですが、バランストレーニングにもなります。なるべく膝を前に出さずに腰を後ろに引いて、バランスをとるため上体を前傾します。椅子に腰掛ける寸前までの動作をゆっくりと5~6秒かけて行うイメージです。これを5回以上繰返し1日3回程度行います。

*転倒して骨折などしては元も子もないですから、ふらついてもすぐに支えられるようにテーブル等の上に手を添えて(自信がある人はあまり手に頼らずに)やってみましょう。

それ以外にもストレッチ運動ラジオ体操ウォーキング各種スポーツなども効果があります。(個人的には太極拳などがオススメ。)

大事なのは続けることです。

腰痛持ちの“こしなでジャパン”の皆さんも「ロコモ」に注意して、元気な老後をよロコモう(喜ぼう)。

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